さのべん
■ 佐野弁
泉佐野市域の方言、泉州弁の一つ。岸和田藩時代の影響や紀州方面からの方言も混じり合って特徴あるものとなっています。
質問に使う「有るけ?(有りますか?)」「居るけ?(居ますか?)」の「け」。してあげるの意昧で使う「しちゃる(してあげる)」「待っちゃる(待ってあげる)」の「ちゃる」。依頼の意味で使う「たべちょう(食べて下さい)」「着せちょう(着せて下さい)」の「ちょう」などがその主なもの。否定の意味の「しない」は、「しん」や「せん」になり「しいしん(しない)」「来いせん(来ない)」などと言ったりします。
語尾には「あのな、安てもな、買わんときな(あのね、安くても買わないでおきなさい)」などと「な」が年代を問わずに多用されています。「そうやのぅ、珍しいのぉ(そうですね、めずらしいですね)」と語尾に「のぅ」や「のぉ」を付けるのは中年以上ではまだ健在です。また同じ市内でも海岸地帯、日根野、上之郷では一部違った言い回しもみられます。
佐野弁の科学的な研究はまだ進んでいませんが、私たちの祖先たちが暮らしの中で伝え、残してきた言葉の文化も大切にしていきたいものです。
(出典:『泉佐野何でも百科』 泉佐野市役所 1994年 103ページ)