なたね
■ 菜種
アブラナ科の冬野菜。種子から菜種油をとるために栽培します。古い時代は明りをとる油はエゴマからつくられましたが、江戸時代に入って菜種の栽培が急速に広がりました。菜種は泉南地域のように温暖な地方の水気のある水田裏作に適しているために、大都市大坂・堺の近郊農村として表作の綿作ともにかっこうの商業作物でした。江戸時代の泉南地域の農民は、幕府や大坂の大商人の菜種油取引の統制にたいして国訴をもって闘い勝利をおさめています。市内の莱種づくりは明治時代中頃には、衰退した綿作を大きく上回るほどになっています。その後は明りは石油、食用油は大豆にとってかわられてしまい、栽培は少なくなりましたが、近年は春を告げる菜種の花の漬物が人気を呼んで、栽培がやや復活しています。
(出典:『泉佐野何でも百科』 泉佐野市役所 1994年 162ページ)