おくらんでん
■ 奥蘭田
〔1836−1897〕湊浦平松家の生まれ。幕末期の佐野文化の伝統を、明治維新後にまで伝えた人物。
実業家でもあり、嘉祥寺(田尻町)の奥家をついだ後、江戸の店に赴いて幕府御用を勤め、明治初期には経済的な基礎の弱かった明治政府を助けています。明治中ごろには日本水産会理事長に就任し、日本製鉄会社を設立するなど、広く産業の育成に尽くしました。東京商業会議所副会頭にも選ばれています。
一方では、書画の鑑識にも優れ、野州塩原(栃木県那須郡塩原町)に遊んでその美しい風光を愛し、『塩渓紀勝』4冊を生み出しています。彼は61歳でこの世を去るまでの間に、数々の優れた書画を集めました。
(出典:『泉佐野何でも百科』 泉佐野市役所 1994年 38ページ)